転がる石はまろくなる。

オンボロと小自然と。

だから僕はシラスが食えない。

一昨日朝、メダカが一匹亡くなっていた。

庭のプラ舟で育てていた、今年生まれたうちの一匹で、まだ稚魚といっていい大きさだった。綿かむり病だったので、室内の水槽に移して塩水浴にしていた。なかなか元気にならなかったが、3週間近く経ってようやく大丈夫と判断、半分水替えをして塩分濃度を薄めた矢先のことだった。水替え後、底でじっとしていたので、大丈夫かなとは思ったのだが、その翌日のことだった。

毎朝、起きると「おはよー」と水槽をのぞきこんで状態を確認していた。やつは生きようと必死だったし、ぼくもやつを生きさせようと努力した。良かれと思った水替えが、結果的にやつの命を奪った。おそらくもう一回、塩分濃度を保ったまま水替えをするべきだった。

メダカを世話したことのある人ならわかってくれると思うが、メダカは小さな体で、懸命に生きている。それは生まれたての稚魚でも、何年も経った成魚でも変わらない。というか、生き物はみな懸命に生きている。

やつはシラスよりも小さい一匹だった。やつが暮らしていたプラ舟のそばを掘って埋めてやり、弔った。

だから僕はシラスが食えない。メダカの世話を始めて以来、シラスを食べていない。