転がる石はまろくなる。

オンボロと小自然と。

全国チェーン店で食べない理由

在宅で仕事をしていることが多いが、昼食はできるだけ近くの個人経営/家族経営/中小企業経営のお店で食べるようにしている。牛丼チェーンやハンバーガーチェーンなどの全国OR全世界チェーン店にはまず行かない。その理由は2つ。

理由1。どこで読んだか忘れたが、あるインド人がある日本人に「チェーン店で食べたら地元にお金が落ちない、私はできるだけ地元にお金が落ちる店で食べる、君はなぜ行く店を選択するのにそうした要素を考慮しないのだ」と言ったという話。チェーン店でもバイト代などの形で多少地元にお金が落ちるけれども、かなりの割合でどこかに吸い取られていく。お金が地方から中央に、あるいは日本からどこかの国に。とはいえ、コンビニなどのチェーン店を使わないわけにはいかないから、せめて、自分が住んでいる地元をより良くしたいのなら飲食だけでも地元のお店で。

理由2。心を豊かにする一つが食だが、工場生産、セントラルキッチンの食では心は豊かにならないと思うから。カップ麺や冷食ばかり食べていて心が豊かになるとはとても思えない。顔が見える料理人がいつも通り心を込めて作ってくれる料理はおいしくて、ただおいしいだけではなくて心に豊かさをもたらしてくれるのだとぼくは信じている。高ければいいわけでもない。町中華の炒飯や焼きそばも、ぼくらの心に豊かさをもたらす。そして豊かな心は強い心だ。ちょっとやそっとでは折れない心を、心のこもった料理は育ててくれるのだとぼくは信じている。だから豊かで強くあるために、個人経営/家族経営/中小企業経営のお店で食べる。

思い出せば社会人駆け出しの頃、とある乃木坂の事務所に通って働いていた。時間がなかったからメシは近所の牛丼屋でかきこんで食べるのが習わしだった。下手すると昼も夜も、年がら年中その牛丼屋だった。牛丼屋といっても吉野家でも松屋でもすきやでもなくて、たしかカツ丼が500円で食べられて、いつもカツ丼を食べていた。あの頃、メシはただお腹を満たせられればそれで良かった。そして当時のぼくは社畜だった。リーマンではなかったけど、自主的思考を失った奴隷のようだった。その頃の反省が強くあるから、食はできるだけ豊かでありたい。