転がる石はまろくなる。

オンボロと小自然と。

新国力論(下書き)

国力とは何か。ぼくら明治以来の日本人はそれを画一的に「頑張りの総力」と思っていたのではないか。一人一人が精一杯の力を出しきることで欧米列強に伍する国力に達するのだ、的な。昭和20年の一億玉砕的掛け声はその考えのひとつの帰結点だったと考えられるかもしれない。

でもさっきノルウェー街歩きの番組を見てて、「一人一人楽しむことが国の文化を育む 」的なことを語ったポストカード屋のおじさんに思った。ほんとうの国力は、一人一人の「豊かさ」の総力なのではないかと。

知らなかったのだけど、ノルウェーって独立国家となってからまだ百年ちょっとしか経っていないんだね。おそらくだけど、小さな独立国家としていかに国家運営を維持発展させていくかというフィロソフィーが国民全体に根づいていて、だから街のおじさんが普通にそんなことを言えるのではないだろうか。

んで、従来型日本の「力を出し切る」って、いいことのように思えるんだけど、たとえばスポーツのチームだったら勝つために当然のことなんだけど、思考停止してるように思うんだ。サッカーチームだって11人の個性の総力で戦うわけで、ただがんばってりゃ勝てるわけではない。個人の心の底から自発的に湧き上がるユニークなパワーをチームとしてまとめあげて初めて強いチームになるのであって、がんばれる指示待ち人間をいくら揃えたところで、ローカルリーグでは通用しても世界では勝てない。

一人一人がそれぞれの個性を尊重した心豊かな生活を過ごすことが社会全体、国家全体、世界全体を豊かにして、それがぼくらに帰ってくるのではないか。